定期的にマーケッターやプランナーの失言や暴言が炎上話題になりますが、その背景としてはそうした失言・暴言が許させる業界とエンドユーザー(一般市民)乖離した環境が問題だと感じます。
またある程度ステータスを持った人ほど、NOと言える人が周りにいる人がいないので助長されてしまうのと業界の人たちとしか接する機会しかない場合が多いのである意味ムラ社会状態になっているのもあるかもしれません。
[参考サイト]「渡辺直美をブタ=オリンピッグに」東京五輪開会式「責任者」が差別的演出プラン(文春オンライン)
本来マーケッターやプランナー等はエンドユーザー顧客のニーズを的確に把握して、新商品や新製品また既存製品やサービスのプランを考えるというのが本来の姿ですが、実際にはそうではないのが現状です。
自分のWEBマーケティングのビジネスを携わっている身としてたまに遭遇するのが、例えばクライアントに対して業界用語を当たり前に話す人や顧客を見下す態度を取る人も多いのも現状です。
自分もそうならないように日々心がけていますが、備忘録・心を引き締めるためにコラムとして残しておきます。
以前に比べて世間の風当たりが強くなっている
特に広告代理店・マスコミ・メディア関連の業界はある意味、特権階級や自分達が世の中を動かしているという風潮が以前からある感じがします。
その一方で世間は以前に比べてそうしたマスコミ・メディア業界に対して厳しくなっている感じがあり、その乖離が定期的にこうした事件を引き起こしているのではないでしょうか。
その背景としてSNS等により個人情報の発信等が可能になったのと、必ずしもメディアの優位性が失われつつあるのと同時に、物が売れない時代になったので適当にやっていても、なんだかよくわらかないけど売れてしまうような、昭和的なブランディング・マーケティング手法が通用しなくなってきているのもあるでしょう。
しかし上記の世間の評価・風潮に関して、まだ気付いていない業界の人も多いのも現状です。
正確に言うと気づいてはいるけど、認めなくないのもあるのかもしれません。
その理由としては認めてしまうと自分の存在価値が否定されるという感覚(業界自体の存在意義が問われる)があるからです。
3ヶ月・80時間・38万の講座は高額な講座か
今回の「生娘をシャブ漬け戦略発言」問題になった早稲田大学の「デジタル時代のマーケティング総合講座」の受講費用は3ヶ月・80時間で38万5000円だそうです。
[参考サイト]「生娘をシャブ漬け戦略」で大炎上! なぜ吉野家の役員は“暴言”を吐いたのか(ITビジネスオンライン)
そもそもこの金額は高いと見るか安いと見るかですが、講座を受講して何を求めるかによって価値が違うと考えます。
例えば、この講座の費用に関して「著名な人から直接講義を受けられる」「色々な体験談が聞ける」「または場合によってはコネクションが出来る」という意味では単体のセミナーに参加するよりリーズナブルかもしれません。
ただ技術習得や実業務に活かす等、自分自身のスキルアップや実践的や経験を積む等、見返りを求めるのであれば、あまり意味は無いかもしれません。
例えばフォトショップの操作等を教える・学習はさほど難しくはないですが、デザインの基礎等を教える・学ぶのはやはり短時間では教える・習得するのは難しいのと、さらにそこには経験値やデザインセンス等の要素も兼ね備わってくると考えます。
なぜ「生娘をシャブ漬け戦略」発言が生まれるのか
なぜこうした「生娘をシャブ漬け戦略」発言が生まれるのか自分なりに考察してみました。
顧客(エンドユーザー)やクライアントへの尊敬・感謝の気持ちがないのが原因
「生娘をシャブ漬け戦略」発言の根本的な原因は顧客(エンドユーザー)やクライアントへの尊敬・感謝の気持ちが全く見受けられないのが原因だと思います。
顧客(エンドユーザー)の尊敬・感謝というと「お客様は神様です」というのを勘違いされてしまいますが、そういう意味ではありません。
こうして経営・ビジネスをしていられるのも顧客やクライアントあってこそであり、それにより報酬や給与が貰えて生活できるということを忘れてはいけないと思います。
同業界の人ばかり一緒にいる
文頭に記載した通り、同業界の人ばかりと一緒にいるケースが多い場合、結局仕事の依頼も同業界の人の繋がりであったりすることが多いので、村社会状態になってしまい、世間一般の感覚とずれていく事が多いです。
背景に格差社会・一般消費者自体が生活に余裕がなくなっている
また格差社会や一般消費者自体が生活に余裕がなくなっているのもあるかもしれません。
マスコミ・メディア・クリエーター系は斜陽産業とは言え、まだ所得は高給の部類に入ると思います。
そうした高所得者層がなかなか低所得者層の実態を把握して、的確なプランニングをするのは難しくなってきているのではないでしょうか。
また以前は中間層にフォーカシングをして企画なりプランニングをすればよかったのですが、最近問題になりつつある所得格差広がりにより、ターゲット層がなかなか絞りづらいや施策が難しくなってきています。
これはマーケティングだけの問題ではありません。役所等の公共のサービスも従来は一番マジョリティ層をターゲットしてればよかったのですが、これからは所得の低い層から高い層まで対応しなければならず、今まで以上にサービスコスト等が掛かる可能性があります。
また一般消費者自体が生活に余裕がなくなってきているのも間接的に影響があるかもしれません。
以前はとんねるずのような身内ネタのお笑いがブームの時期がありましたが、最近はテレビでは全く受けません。
もちろんコンプライアンス的な問題もありますが、単純にお笑いを素直に楽しめないほど生活に余裕がないのではないでしょうか。
むしろ妬みの感情を抱く人も多く、その矛先がSNS等に向かう場合もあります。
昭和的なマーケティングが通用しない・マーケティングの参入障壁が下がっている
ここ数年で顧客の購買意欲の変化やネットマーケティングを中心にかなり変化してきている感じがします。
いわゆる先程書いたような従来のようなマスメディアを中心とした昭和的なマーケティングが通用しなくなってきているのと、ネットマーケティング自体が進化しているのもあると考えます。
例えばGoogle広告にしても、街のお店でもパソコンとネットとホームページさえあれば、広告を配信しようとしたら数日で配信可能になっています。最近では文面・キーワード・広告デザインもGoogle広告上で簡単にできてしまいます。
従来であればテレビCM・看板・新聞広告等は多額なコストが必要で広告代理店経由でないと難しいのと、そこには既得権益層の存在があったり等、参入障壁が高い業界でした。
しかも視聴率等指標が曖昧なデータでした広告投資効果を計測できませんでした。
それが街のお店でも気軽に広告配信できて、広告経由の成約数もリアルタイムで計測できたりしてしまう時点で、代理店の存在価値すらなくなってくる状況になってきています。
また根本的な問題として若年層はテレビを見ない=テレビCMを見なくなってきているのも大きな原因です。
細かすぎて伝わらないテクニックに走りがち・溺れてしまう→現実は顧客はもっと手前で躓いている
IT・WEB系に多いのがテクニックや技術に走りがちというか溺れる場合もあります。
ミーティングでも専門用語ばかり羅列をしたり、新技術や新サービスを呪文のように盛んに導入を勧めたり等、顧客(エンドユーザー)やクライアント目線というより、自分目線で語ってしまったり、自分が使ってみたいサービスであったりすることがあります。
確かに技術等は重要ですが、それ以前に顧客のニーズ・気持ち(どういう時にこの商品が欲しいのか等)に寄り添うことが大事です。
例えばGoogle Analytics4の移行等がありますが、直帰率・滞在時間・コンバージョン設定が云々の話がありますが、そもそも一般ユーザーはGoogle Analytics自体使ったことがない・よく見方がわからない等言う人がかなり多いのが現状です。
まだまだGoogle Analyticsを活用している人はごく少数で、詳細設定以前にGoogle Analyticsの必要性・重要性の布教活動の方が先のような気がします。
自分のビジネスの勝ちパターンをどの業務にも当てはめてしまう
今までの自分の成功体験(自分のビジネスの勝ちパターン)をどの業界・業種にも当てはめてしまう人もいます。
業界やサービスによってそれぞれ抱えている問題やサービスの特徴や市場は異なるのでやはりそれぞれにあった施策というものが必要だと考えます。
また提案をする際に一辺倒な提案ばかり繰り返す代理店もいます。その理由としてはやはり楽なのだと思います。
それぞれにあった提案やサービスの提供はどうしてもカスタムオーダーメイドになるので手間や工数がかかってしまい利益に直結しないという会社の事情もあると推測します。
顧客を顔を見ないで管理画面ばかり見てしまう
アクセス解析や顧客テータ分析をしていて陥りがちなのが管理画面(データ)しか見ようとせず(権限等で見ることができない場合も)本当の顧客の声やニーズを把握していない状態でマーケティングを施策をしてしまうことです。
プログラマーも同様で、目の前のコードばかり注目してしまい、本当に必要なシステムなのかとか、ユーザーの使い勝手はどうなのか等、忘れがちになってしまいます。
確かにデータドリブンはとても重要ですが、やはり実際の顧客の感情や気持ちまで把握することは難しいです。
例えば対面サービスをしている場合、購入したときの顧客の一言やネット通販等の場合、直接電話したりして顧客の声を聴くことがとても大事だと考えます。
もちろん一部の顧客の声ばかり聞いてしまうのもそれはそれで「木を見て森を見ず」の状態になってしまいよろしくありません。
やはりデータと顧客の生の声の両方のバランスがとても重要です。
コンサルタント・マーケッターの選び方
では企業側にも問題がないかといえばそうではありません。選ぶ側にも責任があると思います。
肩書やブランドだけで選ぶことをせず、本当に自社の経営理念を理解して自社の経営の方向性とマッチする人とパートナーして選ぶことが大事です。
学歴・肩書で選んでしまう
セミナーやコンサルティングを依頼する場合、つい学歴や肩書で選んでしまう場合があります。
実際の自分の実業務や自社に貢献するととなるとそのコンサルタントのキャリアや経験が必ずしも当てはまるとは限りません。
例えば外部の有識者の目線で実経営の問題点の指摘等はあるかもしれませんが、実際の改善に関しては自社社員での自覚が必要だと考えます。
友人の紹介や知人の紹介で選んでしまう
社長の友人繋がりや知人の紹介つながりで選んでしまう場合も注意が必要です。もちろんすべて友人の紹介や知人の紹介が悪いというわけではありません。
ただ結局のところ仲良し倶楽部的なものになってしまう可能性があるのと、友人・知人の手前紹介してくれた人を恩を仇で返すことができない等でビジネスに私情が入ってくる場合があります。
例としては、大手企業の社外取締役が社長の友人だったりするケースがにているかもしれません。
■[参考サイト] あなたの会社の社外取締役は誰の紹介ですか? (和田倉門法律事務所)
コンサルタントに相談の前にまずは現場・顧客の声に耳を傾ける
経営者の中には現場の意見は聞かずにコンサルタントの意見ばかり耳を傾ける経営者もいます。
その理由としては役員・経営者との現場との距離感(組織的・地理物理的・コミュニケーション的)がある場合や経営者が現場の経験がない場合(同族経営の二代目社長や異業種から経営者として転職)等色々あります。
踊る大捜査線の名言の「事件は会議室で起きてるんじゃない 現場で起きてるんだ」の状態です。
[参考サイト]知床遊覧船の沈没、吉野家「シャブ漬け」発言…「現場を重視しない経営者たち」の大問題(現代ビジネス)
まずは現場の状況を把握して、その上でコンサルタントの助言等をもらって最終的に総合判断をすることが大事です。
成功談・成功体験は盛っている場合やポジショントークに注意
よく書籍やインタビューやセミナー等成功談や成功体験の紹介とかが多いですが、実は失敗体験の話のほうが貴重だと思います。
成功体験談は盛っている場合がある可能性ある(もちろん全部ではないです)のと自身の成功体験だけなく、別の要素(市場が成長期だった等)も関係している可能性もあるので一概にそのまま鵜呑みに出来ない部分も多いのと、そのまま応用して自身のビジネスに活用すること難しい場合があります。
逆に失敗体験・失敗談を語ることができるということは、「しくじり先生」のように失敗を糧にして(経験値にして)それだけ業界裏話や苦労話等はとても参考になることが多いです。
しかし個人の実績や手柄というより、急成長企業や右肩上がりの経済成長期や急成長の業界の場合、何をしても成功するケースが多いです。
大企業の場合、個人で出来ることは限られています。チーム・部署単位でプロジェクトを運営することが多く、確かに陣頭指揮等により才能を発揮することが多いですが、特に最近の職種・業務は細分化されており、すべてが自分の手柄とは言い切れない部分が大きいのではないでしょうか。
また最近多いのはポジショントークです。ポジショントークとはそれぞれの立場から自分に都合のよいこと、自分に有利になるようなことを言うことで、特にSNS等個人で発信することが可能になった時代、ポジショントークをする人も増えています。
ポジショントークを見分けるにはその人の背景をちゃんと知り、過去の発言と比較して一貫性があるかどうか確認することが必要です。
[参考サイト]『表紙に著者の顔写真が載っている本には手を出さない』これだけで驚くほどQOLが上がる…という意見に様々な感想「著者が腕組みしてる本も手を出さない」(toggter)